2010年3月23日火曜日

Vol.23 『客の行列で脱税発覚』

全国の“ご当地ラーメン”を食べ歩き、「日本一おいしいラーメン屋」を作りたいとの夢から、20年間勤めてきた会社を辞めてラーメン屋をオープンしました。しかし、現実はそんなに甘くはなく、自分が考えてきたラーメン作りができずに、店をオープンしてからすぐ閑古鳥がなく始末に―。ひどい時は、1日のお客さんが1ケタ台で、店を開ければかえって赤字がひどくなるといったことも少なくありませんでした。

店をオープンして1年が経っても依然状況は変わらず「そろそろ潮時かな」と考えていたある日、いつものように暇な店内でテレビを見ていると、私と同じような境遇から這い上がろうと頑張っている人の特集をやっていました。私はその姿を見て、初心を忘れていたことに気づいたのです。

私も、ラーメンの食べ歩きをしている時は「お客さんからお金を貰うのに、どうしてこんなに手を抜くのか」と思っていたのです。ところが、いざ、自分がラーメン屋を開くと、その努力を怠っていたのです。そのことに気付いてから、私は寝る間を惜しんで毎日ラーメン作りに没頭しました。成果は徐々に現れ、1日10人程度だったお客さんは、50人、70人と増え、ついには100人を超えて店の前に長い行列ができるほどの大人気の店へと成長しました。

やはり、一番混むのは昼時です。ある日、食べ終わったお客さんが会計してレシートを出そうとしたとき、「いいよ、混んでるからレシートいらないよ」と言われたのです。それを聞いていた次のお客さんも、またその次のお客さんも「(レシートは)要らないよ」と言うのです。店を閉めてその日の店の売上げを計算している時、「これからは言われたらレシートを出せばいいや」と思い、このレシートが少なければ売上を少なく計上できるのでは―と考えたのです。

翌日からすぐに実行しました。昼時のお客さんの多くは案の定「レシート下さい」とは言いません。そこで2重帳簿を作り、税務署にはもちろん少ない売上げで申告していました。

しかし、それも長くは続きませんでした。昼時の超混雑が過ぎ、店が一段落したころ税務署がいきなり店に現れたのです。「連日、行列ができているラーメン店で、売上げがこれだけのはずがない」と指摘され、もともと、思いつきでやった脱税であるため、すぐに白状してしまいました。

サラリーマンを脱することで始めた事業が、税を脱することにつながってしまい、「何時も初心わするべからず」と反省している毎日です。

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