ハワイ好きの私は毎年最低1回はハワイに行く。ハワイといえば光る海、輝く空、そしてハワイアンジュエリー。今でこそ簡単に手に入るようになったが、あのころはまだ日本では目新しかった。親友に初めてハワイアンジュエリーを土産として買ったとき、予想以上に喜ばれたため、その後はハワイに行くたびに違うタイプのものを買って帰るようになった。
あるとき、多めに買い過ぎて余ってしまったハワイアンジュエリーを、ダメもとでインターネット上で売りに出してみた。すると、来るわ来るわ、問合わせメールが。「これを商売にしよう」と考えたのはこのときだ。今の時代は、充分な資金がなくても、インターネット上で手軽に自分の店が持てる。さっそくホームページを開設した。
最初は楽しくて仕方なかった。自分が選んで買ってきた商品を見ず知らずの人が喜んで買ってくれる。それが嬉しくて、注文があるたびに丁寧にラッピングし、直筆の挨拶状を添えて発送した。そんな細かい気配りと品質のよさが口コミで伝わり、いつしか雑誌に取り上げられるまでに。雑誌の宣伝効果は大変なものだった。問合わせメールは1日平均で100件以上。アレよアレよといううちに、顧客リストは300件を突破した。
これに味をしめた私は、思い当たるほとんどの雑誌に派手な広告を出し、宣伝活動に力を入れるようになった。同時に「セット割引」や「ポイントサービス」などを試験的に導入。これがまた顧客心理をガッチリつかんで、売上げは面白いくらいに伸びていった。
売上げを少しずつごまかし始めたのはこのころだ。最初は、銀行口座への振り込み分だけを申告し、たまに発生する現金書留による入金を除外した。そのうち、売上げの10%を毎月除外するようになり、この割合は15%、20%、30%と徐々に増加。除外した金額は複数の架空名義の銀行口座に分散預金し、そのカネでせっせと「仕入れ」のためにハワイに通った。もちろん、「仕入れ原価」には正規の航空運賃を記載して、笑いが止まらなかった。
しかし、こんなウマイ話が長く続くワケがない。ある日突然、税務署から「申告内容に関する問合わせ」が来た。あたふたしているウチに調査官がやってきて、帳簿や領収書リストをチェックされ、一連の書類と一緒の袋に入れておいた架空名義の貯金通帳まで見つかってしまった。今思えば、あれだけ派手な広告展開をしていれば税務署が目を付けるハズである。こんなことなら、キチンと税金を払っておけばよかった。「地道が一番」ということをつくづく思い知らされた。
2010年3月13日土曜日
Vol.13 『ハワイ土産がビジネスに発展』
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